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新築住宅購入の資金計画。住宅ローンを無理なく返せる「返済負担率」の目安とは
補助金や制度2025/06/25
2025.06.25更新
夢のマイホーム購入には、2つの重要なポイントがあります。
- 無理のない購入予算を設定するための「資金計画」
- 住みたい土地・物件の希望条件を具体的にイメージすること
今回は、この中でも特に重要な「資金計画」に焦点を当て、資金の考え方、出費の内訳、そして住宅ローンの返済計画の立て方について詳しくご紹介します。
①具体的な資金計画の立て方
資金計画を立てる第一歩は、現在の貯蓄額を確認し、そのうちいくらを住宅資金に充てられるかを明確にすることです。貯金は自己資金の大きな部分を占めますが、将来のライフイベント(出産、教育費、マイカー購入など)に備え、手元に残しておきたいお金を考慮した上で、頭金に使える金額を決めましょう。
資金計画で最も重要なのは、「家計に無理なくローン返済を続けられるか」という点です。新築住宅の購入では、一般的に長期で多額の住宅ローンを組むことになります。まずは、以下の3つのポイントを検討し、ローンシミュレーションを行いましょう。
・返済額: 毎月いくらなら無理なく返済できるか
・金利タイプ: 変動金利か固定金利かなど
・返済期間: 何年で完済を目指すか
また、住宅購入資金には、土地と建物の購入価格以外に「諸費用」が発生します。この諸費用は、おおむね購入価格の8~10%程度が目安となります。住宅購入後も、固定資産税や都市計画税などが継続的に課税されることを忘れてはいけません。
②土地と建物以外にかかる諸費用
住宅購入時には、土地・建物の代金以外にも様々な諸費用が発生します。これらは新築と中古で一部異なりますが、主な費用は以下の通りです。
・税金: 固定資産税、印紙税(契約時)など
・登記費用: 土地や建物の登記にかかる費用
・住宅ローン関連費用: 各金融機関の事務手数料、住宅ローン保証料、斡旋手数料など
・保険料: 火災保険料など
・不動産仲介手数料: (仲介物件の場合)
・引越し費用、家財購入代、近隣への挨拶品代なども考慮しましょう。
これら一度だけかかる費用と、住宅購入後も継続してかかる費用(火災保険、固定資産税など)があることを理解しておくことが大切です。
住宅購入の頭金とは?そのメリット
頭金とは、住宅購入時に自己資金の中から支払う現金のことで、「自己資金」とも呼ばれます。
頭金を多く用意すると、以下のようなメリットがあります。
・住宅ローンの借入額が減る: その結果、毎月の返済額が少なくなり、家計の負担を軽減できます。
・支払う利息が減る: 借入額が少ない分、総返済額に占める利息の割合が減ります。
・返済期間を短くできる: 月々の負担を抑えつつ、早期完済を目指すことも可能です。
・マイホームの選択肢が広がる: 購入可能な住宅の価格は、「借りられる住宅ローンの金額+準備できる頭金」で決まるため、選択肢が増えます。
・住宅ローンの審査が有利になる可能性: 金融機関によっては、頭金が多いと審査に通りやすくなることもあります。
頭金として使える金額は、現在の貯蓄額と親族からの援助額を合計し、将来のライフイベント(出産、子どもの教育費、マイカー購入など)に備えて手元に残しておきたいお金を差し引いた額を目安にしましょう。無理のない範囲で自己資金(頭金)を準備することが重要です。
③住宅ローンの返済計画と返済負担率
住宅ローンの月々の返済計画
資金計画を立てる上で最も重要なのが、「家計に無理なくローン返済を続けられるか」という点です。月々の返済額だけでなく、自分や世帯の年収に占める返済額の割合(返済負担率)をしっかりと把握しましょう。
住宅ローンの場合、返済負担率30%以内が無理なく返済できる範囲とされています。返済負担率が30%を超えると、返済負担が大きいと感じる可能性が高くなります。
ちなみに、年収により返済負担率の目安が異なるため注意が必要です。全体的には、年収が低いほど返済負担率の上限も低くなる傾向にあります。
▼住宅ローン返済負担率の目安(フラット35を基準)
年収400万円未満 | 30%以下 |
年収400万円以上 | 35%以下 |
例えば年収400万円であれば、年間返済額の上限は120万円以下。
年収500万円であれば年間返済額の上限は150万円以下となります。
ただし、これらの割合はあくまで目安です。年収に対して30%~35%を目一杯に借り入れることが約束されるわけではありません。
借入可能額まで全額借りてしまうと、返済が厳しくなり後に苦労する可能性があります。
一例として、年収400万円~600万円の人が住宅ローンを利用した場合の返済負担率と月々の返済額(返済期間35年)をまとめてみました。
▼年収400万円の人が住宅ローンを利用した場合の返済負担率ごとの返済額
返済負担率 | 年間の返済額 | 月々の返済額 |
25% | 1,000,000円 | 83,000円 |
30% | 1,200,000円 | 100,000円 |
35% | 1,400,000円 | 116,000円 |
↑返済負担率が5%上がるだけでも、月々の返済額に約17,000円の差が生じます。
▼年収500万円の人が住宅ローンを利用した場合の返済負担率ごとの返済額
返済負担率 | 年間の返済額 | 月々の返済額 |
25% | 1,250,000円 | 104,000円 |
30% | 1,500,000円 | 125,000円 |
35% | 1,750,000円 | 145,800円 |
▼年収600万円の人が住宅ローンを利用した場合の返済負担率ごとの返済額
返済負担率 | 年間の返済額 | 月々の返済額 |
25% | 1,500,000円 | 125,000円 |
30% | 1,800,000円 | 150,000円 |
35% | 2,100,000円 | 175,000円 |
何歳からローンを組むのか、完済時の年齢も考慮し、給料の手取り額と住宅ローン以外の支出(生活費、子どもの教育費など)を考慮した上で、無理のない資金計画・返済額を決めましょう。
住宅ローンの仕組み
金利は低ければ低いほど、支払う利息が少なくなり、総返済額も抑えられます。 例えば、1,000万円を35年で借りて毎月元利均等返済をする場合、金利が4%と3%では、総返済額に約244万円もの違いが生じます。
また、住宅ローンは一般的に、ローンの申込時ではなく「ローンの実行時」の金利が適用されます。特に、完成前の新築物件を購入する場合などは、ローンの実行が物件の完成後となるため、申込時の金利と異なる可能性があります。これを考慮し、余裕を持った資金計画を立てておくと安心です。
まとめ
住宅購入の資金計画は、購入時の一時的な出費だけでなく、将来のライフスタイルの変化を想定しながら、長期的な視点で支出を考えることが大切です。
不動産会社の担当者や銀行のローン担当者と密に相談しながら、ご自身にとって無理のない、最適な資金計画を立ててくださいね。
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