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コラム
学童期の子どもがいるファミリーにおすすめの間取り
間取りのアイデア2024/10/18
今回は「学童期」と「思春期」別に子どもがいるファミリー向け家づくりのポイントをまとめました。一戸建て住宅を購入する際は、「今」のことだけ考えるのではなく、先を見ることも大切です。
学童期は、6~12歳の子どもが小学校に通う期間に当たります。学校で勉強する時間が多く、自分でできることやお友達付き合いが増え、自立心が高まる時期です。未就学児の頃と比べると、学童期は生活が一変します。さらに、小学校4年生前後の「10歳の壁(9歳の壁)」と呼ばれるものや反抗期など、心身ともにさまざまな成長と問題が訪れます。
一方で、まだまだ親を頼ったり、甘えたりすることも大切な時期です。親子の適度な距離感と、子どもの自立を助ける住宅環境を整えましょう。
学童期の家づくりポイント
学童期は勉強面や内面的成長が著しい時期です。子どもの得意な分野や好きなことを見つけて、自主的に取り組めるような環境を作ることを心がけましょう。リビングと子ども部屋の使い分けが大切です。
①自分でできる環境づくり
小学校低学年の学童期は、宿題や自分の身の回りのこと、手伝いなど、身近なことに丁寧に取り組むことで、「自分でできる!」という自信をつけることが重要です。
学校の準備や宿題、身支度や持ち物の管理など、自分のことは自分でできるようにしたい時期です。毎日のルーティンや、収納場所・置き場所を決めてあげることで、習慣化を助けることができます。また、自分のことだけでなく、家の手伝いも積極的に行ってもらいましょう。誰かの役に立つことは、将来につながる大きな成功体験となります。
②プライベート空間の確保
遊びや趣味、友だちとの交流など、子どもが好きなもの、熱中できるものを十分に楽しめる空間を確保してあげましょう。幼少期に比べ、学童期から少しずつ、子ども部屋を使う機会が増えてきます。まだ部屋の使い方や、過ごし方などを親が定期的に確認することが必要ですが、子どもだけの時間も大切にしてあげたい時期です。
おすすめな間取り
①リビング階段
家族とのコミュニケーションを増やしたいという方におすすめしたいのが、「リビング階段」です。子ども部屋が2階にある場合、玄関ホールの階段を使えば、帰宅した子どもはそのまま自室に行くことができます。しかし、リビングからの階段なら必ず顔を合わせるので、自然に「ただいま」「おかえり」のやり取りが生まれます。これは特に子育て世代の方々に人気のポイントです。
階段の位置を後から変えることは難しいため、リビングの真ん中ではなく、端や玄関から近い場所に階段を設置するなど、動線を意識すると良いでしょう。リビングの通過時間を最低限に抑えることができ、来客時にも気になることは少なく、互いのプライバシーを確保できます。
②対面式キッチンやオープンキッチン
リビング・ダイニングに向いている「対面キッチン」や壁で区切られておらず同じ空間にある「オープンキッチン」なら、リビングの子どもを見守りながら家事ができます。また、行き来がしやすいと、料理をしながら「テーブルにお皿を並べてね」とリビングにいる子どもに声をかけやすく、お手伝いの習慣を養うこともできます。
③吹き抜けがある間取り
1階と2階の隔たりが少なくなることによって、家族の気配を常に感じられ、安心感が生まれます。吹き抜けを介して、どこでも会話ができる間取りは、コミュニケーションを取ることが難しくなるお年頃の子どもがいる家庭におすすめです。吹き抜けがあることで、室内に光を取り入れられ、開放的になります。
④リビング学習を取り入れる
学童期は遊びだけでなく学習にも積極的に取り組む時期です。近年、リビングでの学習をするご家庭が増えており、リビングにお子様の勉強スペースや収納場所を設ける間取りが増えています。子どもがまだ小さく一人では子ども部屋に行けない、または学習習慣が身についていない場合におすすめです。夕食前後にリビングで宿題をしたり、翌日の準備をしたりすることで、子どもの移動や生活動線がスムーズになり、さりげなくサポートすることができるメリットとして挙げられます。
近年では学校から出された宿題の丸付けを親がすることになっています。丸付けには時間も手間もかかりますが、子どもの学習をサポートするために、とても大切なことです。リビングに勉強スペースがあることで、家事と子どもの学習のサポートを両立しやすくなります。
⑤リビングに収納や引き出しを設置する
リビングに必要になる物が多く、物が散乱しやすい時期です。学校の勉強道具をはじめ、幼少期から集めたおもちゃなどもリビングに集中します。必要なときサッと取り出せるよう、なるべく使う場所の近くに収納があると良いでしょう。
収納が少ない場合は、棚の設置やケースなどを購入しましょう。親が口を出さなくても、収納場所・置き場所を決めて習慣化し、片付けができるようにしましょう。子どもの自立心や責任感を育てることができます。
⑥バルコニーがない部屋に子ども部屋を作る
子ども部屋にバルコニーやベランダを付けた場合、子どもが小さいときは転落の危険性があります。また、子ども部屋にしかバルコニーがない場合、子どもが大きくなったときに「自分の部屋を通って、親が洗濯物を干しにくる」ことはとても気になることです。子ども目線で考えると「勝手に部屋に入られる」ことは、ストレスに感じます。
⑦アウトドア空間をつくる
外遊びや家庭菜園ができるお庭がある間取りもおすすめです。季節の野菜や花々、虫を観察したり、天候の変化を感じ、外空間が学びの場になります。小学校3年生からは理科や社会の授業が増え、学ぶことの幅が広がってきます。子どものときに経験する緑や虫などに触れる自然体験は、理科や社会への興味のきっかけにもなりますし、なにより楽しく良い思い出になります。
子どもが遊ぶお庭スペースは、大人の目が届く位置にあると安心です。
まとめ
一戸建て住宅を購入する際、子どもの学びの場や動線を考えることで、学習習慣が自然と身に付き、子どもの自立心や責任感を育てることができます。そして何より家族時間を大切にしていただきたい時期です。親子で一緒に学んだり、体験ができる家づくりを考えてみてください。
■小学校低学年の学童期は、宿題や自分の身の回りのこと、手伝いなど、身近なことに丁寧に取り組むことで、「自分でできる!」という自信をつけることが重要です。
■小学校4年生前後の「10歳の壁(9歳の壁)」と呼ばれるものや反抗期など、心身ともにさまざまな成長と問題が訪れるのが学童期です。リビングと子ども部屋の使い分けが大切です。
■家族とのコミュニケーションを増やしたいという方におすすめしたいのが、「リビング階段」「対面式キッチン」「吹き抜けがある間取り」です。どこでも会話ができる、家族の気配を感じる間取りは安心感が生まれます。
■転落の心配からバルコニーがない部屋に子ども部屋を作るといいでしょう。バルコニーとつながった洋室は、洗濯物を干したり、取り込む際に必ず通ることになります。大人が勝手に部屋に入ってくることに、子どもがストレスを感じる場合があります。
次回は「思春期の子どもがいるファミリーにおすすめの間取り」をご紹介します。
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