建築用語「オーバーハング」とは? | エルハウジング

エルハウジング(京都)の新築一戸建て住宅・土地を全物件掲載/公式サイト

Column
コラム

建築用語「オーバーハング」とは?

間取りのアイデア2025/01/16

エルハウジングが数多くの建売住宅を手掛けてきたなかで、オーバーハングという建築用語が増えてきました。オーバーハングは「狭い土地を有効に活用する」方法として人気があります。狭小地が多い京都や大阪の建売住宅を設計するうえで、オーバーハングは有効な手段です。

オーバーハングとは?

オーバーハングとは、建築用語で、下の階よりも上の階が外側に張り出している設計や構造を指します。英語の「overhang」は「突き出す・張り出す」という意味です。建築関係者によっては「片持ち」と呼ばれます。

オーバーハングの例

1階よりも2階や3階がせり出している建物を見たことはありませんか?この形状が「オーバーハング」です。例えば、2階や3階のバルコニーが張り出している場合、その部分はオーバーハングと呼ばれます。

2Fの居室を広くしたり、ベランダとして活用したりするのが一般的です。オーバーハングの下部分は駐車場やテラス、玄関ポーチとして活用されます。

こちらの2階建ての建物では、2階の居室が広くなり、駐車場の後方が屋根スペースになります。

 

こちらの2階建ての建物では、2階の居室が広くなり、玄関ポーチとして活用されています。

 

オーバーハングのメリット

敷地面積が狭くても、延床面積を確保しやすい

オーバーハングの最大のメリットは、限られた敷地でも広い室内空間を確保できることです。例えば、「リビングを広くしたい」「ウォークインクローゼットを設置したい」といった要望にも対応しやすくなります。特に都市部では土地が狭いことが多いため、オーバーハングを採用することで1階部分を駐車場として活用できる点は大きな利点です。

また、コスト面でもメリットがあります。1階部分を広げる場合、基礎工事や屋根の面積が増え、その分コストがかかります。しかし、2階部分をオーバーハングさせることで屋根は広がりますが、基礎を増やす必要がないため、コストを抑えられます。基礎工事は住宅建築において費用がかさむ部分なので、オーバーハングを活用すれば効率的に家を広くすることができるでしょう。

②日よけや雨よけになる​

オーバーハングは、日よけや雨よけの役割を果たす点が大きなメリットです。張り出した部分が屋根代わりになるため、雨の日でも快適に過ごせます。たとえば、駐車場では傘をささずに車の乗り降りができ、玄関ポーチでは落ち着いて行動できます。特に雨の日は小さなことでもストレスになりがちですが、オーバーハング部分が雨除けスペースになることで、出かけるときや帰宅時にゆとりが生まれます。また、雨にさらされないため、ガーデニング用品やDIYグッズを置く物置としても活用できます。

施工場所によって、さまざまな活用方法があります。1階のLDKの上にオーバーハングを設置すれば、軒の深い屋根のように日差しを遮り、玄関の上に設置すれば庇の代わりになり、雨除け効果を発揮します。駐車スペースの上に設置すれば、カーポート代わりとなり、日差しや雨から車を守ります。自転車置き場として利用することもできるので、室内と屋外の両方の使い勝手を考えながら設計すると良いでしょう。

③個性的な外観の住宅を作りやすい

オーバーハングは個性的な外観デザインを実現しやすい点でも魅力です。2階部分を張り出させることで、大きな箱が重なったようなユニークな外観になります。バルコニーをオーバーハングさせ、外壁の色や素材を変えることで、おしゃれなアクセントを加えることも可能です。道路に面した部分をオーバーハングさせれば、デザイン性を高めることができます。

張り出した部分が浮いているように見えることで、独特の雰囲気を演出し、建物の形にメリハリを生み出します。オリジナリティのあるデザインを求める人にとって、オーバーハングは非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

 

オーバーハングのデメリット

①耐震性の検討が必要​

オーバーハングを採用する際には、耐震性の検討が必要です。建物から張り出している部分には支えがないため、全体の荷重バランスが不安定になりやすくなります。そのため、通常の建物に比べて構造設計をより慎重に行わなければなりません。例えば、2階建てで耐震等級3を取得している建物でも、大きくオーバーハングさせることで等級が1~2に下がる可能性があります。柱や壁の位置を適切に配置することはもちろん、基礎の補強や延長が必要になる場合もあるため、耐震工事のコストが増加することも考慮しておく必要があります。
特にオーバーハングを採用する建物はバランスが崩れやすいため、階数を増やすことはリスクが伴います。建物が高くなるほど揺れたときの負荷も大きります。

家には「地震や暴風に耐えるために必要な壁の量」が建築基準法という法律で決まっています。エルハウジングでは、耐力壁がバランスよく配置できるように壁バランス計算を行い、場所を決定しています。

希望通りに窓を配置できないことがある​

希望通りに窓を配置できない場合があることもデメリットの一つです。オーバーハングの下の壁には大きな負荷がかかるため、耐震性を確保するために壁の強度を高める必要があります。その結果、窓を設置するための開口部が確保できず、壁になってしまうことがあります。設計の自由度が制限される可能性があるため、デザインや間取りの計画時に注意が必要です。

 

オーバーハングは、都市部など特に狭小地や変形地に有効な設計手法です。

狭小地

狭い土地では、1階部分を広げることが難しい場合があります。オーバーハングを採用することで、2階や3階を張り出させて延床面積を確保できるため、限られた敷地でも広い室内空間を実現できます。駐車スペースや玄関ポーチを1階に配置し、その上に居室を設けることで、土地を最大限に活用できます。

≫一緒に読みたい「京都に多い土地「うなぎの寝床」とは?」

変形地

三角形や台形などの形状が複雑な土地でも、オーバーハングを活用することで柔軟な設計が可能になります。1階部分を必要最低限の広さに抑え、上階を張り出すことで、敷地の制約を受けにくくなります。

≫一緒に読みたい「使い勝手がいい土地”整形地”と複雑な地形の土地”変形地”」

建築制限が厳しい土地

建ぺい率や容積率の制限が厳しい場合でも、オーバーハングを利用すれば、空間を効率的に活用できるため、必要な室内スペースを確保しやすくなります。

道路に面した土地

道路側にオーバーハングを設けることで、デザイン性を高めたり、日よけや雨よけの効果を得たりすることも可能です。

このように、オーバーハングは限られた条件下でも有効にスペースを活用し、実用性とデザイン性を両立できる土地に適しています。

 

「 間取りのアイデア 」の最新記事


ページの上へ