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京都に多い土地「うなぎの寝床」とは?どんな家が建つのか解説
間取りのアイデア2024/07/04
思わず二度見してしまうような細長い家や土地。
京都には、「うなぎの寝床」と言われる独特の敷地が多数点在しています。
細長いことや狭小なことが特徴の京都の土地ですが、工夫を凝らすことで十分な広さや採光を確保した家となります。
今回は、京都独特の土地「うなぎの寝床」について解説していきます。
うなぎの寝床とは
ご存知の人も多いと思いますが、うなぎの寝床というのは前面道路に面する間口が狭く、奥行きが長い土地のことを言います。
▼土地の形状
きれいな長方形や正方形を「整形地」、L字型や台形などは「変形地」などと言ったりします。
間口が狭く、奥行きが極端に長いうなぎの寝床も変形地と言っていいでしょう。
うなぎは岩の隙間など狭く細いところを好みます。【うなぎの寝床】という言葉はうなぎが好むような、間口が狭く細長い間取りの部屋を表現する言葉として使われています。
うなぎの寝床が多い地域
現在も、東京23区、大阪、名古屋、京都に多く見られるという特徴があります。比較的大きな土地を短冊状に分割して間口に対して奥行きが長い「うなぎの寝床」と呼ばれる土地が多い状況です。
その理由は、江戸時代まで京都では独自の賦課金システムが採用されていたことに起因しているという説があります。この賦課金の金額は間口、つまり玄関の広さに応じて決められており、少しでも賦課金を減らしたいと考えた庶民は、間口が狭く、その代わりに奥行きがある建物を建てるようになりました。つまり、現代でいう税金対策の結果として、うなぎの寝床が誕生したといわれています。
間口の大きさによって税額が決まるというシステムは、隣の大阪でも採用されていました。
うなぎの寝床のメリットや土地活用ポイント
京都には「うなぎの寝床」のような、間口が狭く、奥行きが深い土地が多い状況です。
購入を検討しているエリア・立地が、このような土地だった場合、どのような家が建てられるのか、また住宅を設計する際、どのようなポイントに気を付ければ良いのか。そういった質問について、うなぎの寝床で土地活用をする際の重要なポイントをご紹介します。
・うなぎの寝床の特徴
うなぎの寝床とはその土地の形状から、間口に対して居室を横に並べるような間取りは難しく、奥行きに対して居室を縦に配置するような間取りになります。奥行き方向(長手方向)の壁面に開口部を設けても、両隣の家が接近しているため、採光を大いに期待することは難しいです。
▼メリット
・整形地に比べて土地費用が安いケースが多い
・奥行きが長いので、縦に広く見せることができる
・生活動線を意識した間取りが作りやすい
・インナーガレージが作れる
▼デメリット
・採光を取ることが難しい
・売却時に価格が下がるケースがある
・隣地との間隔が狭い
・リフォームが難しいケースがある
うなぎの寝床で家を建てる工夫
細長い土地である「うなぎの寝床」は、立地や間口の向き、何階建てかなどの要素によって間取りが変わってきます。一戸建ての住宅を建てるときは、スキップフロアで奥行を出したり、フレキシブルな仕切りを作ることで、うなぎの寝床の土地も有効に利用できます。
以下に、うなぎの寝床で家を建てる工夫をいくつか挙げてみます。
・仕切りをなくした空間作り
・対面キッチンにダイニングテーブルが兼用できるカウンターを設置する
・階段を挟んだスキップフロアで構成する
・空いた空間に採光が取れる中庭を作る
・3階建てにすると、他の階にいる家族の様子が分かりにくいので、オープン階段や吹き抜けを取り入れる
・1階部分にインナーガレージを設ける
・洗面所とバルコニーやランドリールームなどの物干しスペースを直結させる
・玄関に土間収納を設けて、玄関の広さと収納スペースを確保する
・天井の一部を勾配天井にしてロフトなどの収納庫を作る
狭い間口や敷地で駐車場を設けることは難しいかもしれませんが、1階部分をインナーガレージにすることで駐車することが可能です。これは、うなぎの寝床のような土地だけでなく、狭小住宅にも言えます。
また、3階建ての間取りの家の場合、子ども部屋の位置は3階になるケースが多いです。理由としては、子どもが自室へ直行することなく、家族が集まるリビングや階段を通って上階へ上がることや、セキュリティ面で3階にすることが多いです。しかしながら、3階に子ども部屋を配置すると、家族の様子がわかりにくくなります。吹き抜けやオープン階段を取り入れることで上の階にも声が届きやすく、子どもの様子も伺うことができます。家族のコミュニケーションを大切にしたいご家庭におすすめです。
工夫次第で理想の住宅を実現できます。
うなぎの寝床の土地活用の注意点
①建築不可能な土地がある
うなぎの寝床のような間口が狭い土地を購入する際は、「建築基準法の接道義務」を満たしている物件確認しておきましょう。建物の敷地は、「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という決まりがあります。うなぎの寝床のような土地に古家が立っている場合、いきなり解体せずに、再建築可能な土地か確認しましょう。
②用途市域を確認する
用途地域とは、都市計画法に基づいて定められた土地ごとに建築可能な建物の種類や用途を制限する決まりです。
うなぎの寝床のような土地に、一戸建て住宅を建てようと考えた場合、3階建てになるケースが多いですが、購入する土地によっては、都市計画法や各自治体が定める条例などにより定められている高さ制限や建蔽率、容積率などにより、3階建て住宅が建築できない場合があります。
一戸建て住宅を建てずに、テナント経営や駐車場など異なる方法で土地活用する場合も、用途地域に注意する必要があります。中には店舗や事務所の建設が禁止される用途地域もあります。
まとめ
うなぎの寝床は、間口が狭い代わりに奥行きが深いという特徴を持つ物件であり、京都や大阪では特に多いことで有名です。空間が広く見えたり、動線を意識した間取りが可能であったりするメリットもありますが、採光や通風が困難で、部屋を奥行き方向にしかつなげられないことはデメリットといえます。
「うなぎの寝床」の土地でも工夫次第では、理想の住まいが建築できます。ぜひご自身のライフスタイルに合わせた家づくりを成功させてください。
次回は「用途地域の意味を知って住環境を把握しよう!」をご紹介します。
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