Column
コラム
一戸建て住宅ではじめるウイルス対策
間取りのアイデア2024/10/04
10月はインフルエンザの予防接種がスタートする時期ですね。
新型コロナウイルス感染症は令和5年5月8日から、季節性インフルエンザなどと同じ5類感染症になりました。これに伴い、日本もようやくアフターコロナの時代が到来しつつありますが、ウイルス対策を施した住宅では、今後の未知のウイルスに対しても効果が期待できます。
これから住宅を建築・購入する方は、快適性・省エネに加え、健康面にも配慮した間取りや設備について検討してみてください。
ウイルスを持ち込まない住宅のポイント
・玄関手洗い
新しい生活様式として洗面台を玄関のそばに設置する間取りが増えました。コロナ流行前と比較すると、玄関に手洗い場を設置している家庭は60%以上※に増えています。
玄関のすぐそばに水栓付き手洗い場を設置することで、菌の持ち込みを防ぎます。ウイルス対策のほかにも、子どもたちが「帰宅後は手を洗う」習慣が自然と身に付きます。
※「玄関手洗い設置率」調査 (2021年株式会社LIXIL住宅研究所)
▼玄関手洗いの設置施工例
・タッチレス水栓(自動水栓)
手をかざすだけで水が出てくる蛇口(水栓)です。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、手指の衛生に対する意識が高まり、ハンドル操作なしで手洗いができるタッチレス水栓が注目されました。自動水栓ではない蛇口では、手を洗った後にレバーやハンドルに触れることになるため、汚れが再付着してしまい、手洗いの効果が減ってしまいます。
タッチレス消毒液ディスペンサーやタッチレスソープディスペンサーもおすすめです。
・UV除菌器オゾン発生装置を設置する
UV除菌器は、洗うことの難しい不織布のマスクや、スマートフォン、マウス、キーボードなどのデジタル家電も除菌できます。手持ち式やボックスタイプなどがあります。
・抗菌クロス
外出時に付着したウイルスは、最終的に床に落ちます。抗菌・抗ウイルス仕様の取っ手や抗菌クロス、フローリングを採用することでウイルス対策に役立ちます。
日本の場合、生活のほとんどを床で過ごします。特に赤ちゃんや幼児は床で過ごす時間が多く、抗ウイルスのフローリングや床材が注目されています。
・非接触自動ドア
不特定多数の人が触れる玄関ドアを自動ドアへ変更・設置することで、衛生面の心配がなくなります。ショッピングモールや医療機関などで多く導入されている自動ドアですが、これは住宅でも可能です。
玄関ドアに触れることなく、手をかざすことで扉が開閉するタイプや、リモコン操作で鍵の施錠・解錠からドアの開閉ができるタイプがあります。
通常の玄関ドアよりも設置費用がかかりますが、玄関まわりの動線がスムーズになるメリットがあり、荷物で両手がふさがっているときや、ペットのお散歩、車いすやご高齢の方でも、安心して使えます。
・宅配ボックスを設置する
ネットでの買い物が普及している今、荷物の受け取りに便利な設備です。非接触・非対面で荷物を受け取れるように宅配ボックスを設置するといいでしょう。
国や自治体によっては宅配ボックス設置に関する支援を実施しています。リフォーム工事で宅配ボックスを設置する際、補助金が出る場合がありますので、お住まいの住宅が条件に該当するかチェックしてみてください。
京都府では残念ながら、宅配ボックスの補助金が用意されている自治体はありませんが、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「子育てエコホーム支援事業」など国からの補助金制度を利用できる場合があります。
»参照 国土交通省HP「https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000050.html」
・エントランスクローゼットを設置する
外出時に着用した上着は部屋に持ち込まないようにすると安心です。なるべく玄関に収納しましょう。玄関の近くに、上着・帽子・靴を収納できるような「エントランスクローゼット」があると汚れを室内に持ち込むのを防げます。
ウイルスを排出する住宅のポイント
一日のうちで一番多く摂取しているのは、室内空気です。アフターコロナの今、室内の空気を清潔に保つために換気が重要とされています。
・24時間換気設備
日本では、2003年に改正された建築基準法により、24時間換気する機能を住宅に整備することが義務付けられています。弊社が施工する住宅にも、窓を開けなくても外気を取り込み、室内の空気をうまく循環させるために、24時間換気システムが導入されています。
多くの住宅には24時間換気が行えるように、換気口および給気口が備えられています。換気口が閉じられていないか、家具などでふさがれていないか等、換気が有効に機能していることを確認しましょう。
・2方向の窓で換気をする
窓を開けて換気する場合、政府は「2方向の窓を1回数分程度、全開に」および「換気回数は毎時2回以上確保」を目安としています。
換気には風の「入口」と「出口」をつくることが大切です。
・開ける窓は 1カ所より2カ所
・二方向で対角の窓2カ所を開ける
参照:首相官邸ホームページ「https://www.kantei.go.jp/jp/content/000062771.pdf」
参照:YKKap 住まいのじょうずな換気方法「https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/lifestyle/articles/ventilation/#condition1」
・高度な空調、換気設備の導入
住まいの空調を一括して管理する「空気清浄機能付き全館空調システム」を導入することで、ウイルスや花粉・PM2.5の対策ができます。
また、24時間換気システムにより、換気効率は向上するものの、適温・適湿の室内空気を排出し、新たにエネルギーを消費して外気を冷暖房するため、高断熱・高気密のメリットである冷暖房効率が低下してしまうという問題が発生します。そこで、排気される室内の空気の熱を回収し、新しく取り入れた外気に熱を移す「熱交換換気システム」を導入することで、冬季や夏季に外気を冷暖房して室温に近づけて吸気するので、快適性の向上や省エネで冷暖房費の節約につながります。
熱交換換気システムは、吸気口に特殊フィルターやプラズマクラスターが設置されており、ウイルス、花粉、PM2.5などの汚れた空気の殺菌作用と除去機能が備わっています。室内のウイルス除去に効果を発揮してくれるはずです。
まとめ
新型コロナウイルスに限らず、ウイルス対策では、居住空間に菌や汚れを持ち込まないことが重要と言われています。
そのためには、家に帰ってすぐに手を洗うことができるよう、玄関の近くに手洗い場があることやタッチレスの設備を導入するなど、菌を持ち込まない工夫が重要です。かばんやコートなどを外で使用したものを収納できるエントランスクローゼットも、ウイルス対策には有効と言われています。
一日のうちで一番多く摂取しているのは、室内空気です。室内の空気を清潔に保つために換気も重要とされています。
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