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コラム
【2025年新築住宅購入】住宅ローン減税 子育て世帯等に対する控除の拡充
NEW補助金や制度2025/01/31
住宅ローン減税(控除)は、住宅ローンを利用して住宅を新築・取得・増改築する際に適用される減税制度です。住宅購入を検討される際、多くの方が気になるのは、「実際にどのくらい税金が還元されるのか」という点ではないでしょうか。
これから新築住宅の購入をお考えの方は、税制改正に伴い、住宅ローン減税(控除)の利用条件が変更されているため、注意が必要です。もともと2024年までの措置として実施されていた住宅ローンの残高上限の拡充が、子育て世帯や若者夫婦を対象に、2025年の入居分まで延長されることになりました。これにより、該当する世帯は引き続き住宅ローン減税の恩恵を受けることができます。
最新の情報を踏まえながら、住宅ローン減税とはどのような制度なのか、基本的な仕組みを含めて確認していきましょう。
住宅ローン減税(控除)とは?
個人が住宅ローンを利用して一定の条件を満たす場合に、所得税の控除を受けられる制度です。正式名称は、「住宅借入金など特別控除」といいます。
無理のない負担で居住ニーズに応じた住宅を確保することを促進するため、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する制度です。
所得税から控除できない場合には、翌年の住民税から控除できるようになっています。控除を利用することにより、返済費用の負担を軽減できます。
ただし、13年間の控除を受けられる対象者には条件があります。
2025年4月より義務化する「省エネ基準に適合住宅」以上が必須
本年より義務化する「省エネ基準適合住宅」以上の物件でないと住宅ローン控除を受けられないため、新築住宅を購入する際には、その物件が省エネ基準に適合しているか、また「建築確認の日」なども合わせて確認することが重要です。
〈2025年住宅ローン減税のポイント〉
●支援対象:認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の新築
●控除率:各年末の住宅ローン残高の0.7%(控除期間:最大13年間)
●借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯※が2025年度(令和7年)に入居する場合には、令和4~6年入居の水準を維持し、子育て世代の住宅取得を支援します。
※「19歳未満の子を有する世帯」又は「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」
●新築住宅の床面積要件 40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る)を延長する。
●要件を満たしている場合、たとえ省エネ基準に適合していない住宅(「その他の住宅」)であっても、2023年12月31日までに新築の建築確認を受けた50㎡以上の新築住宅については、借入限度額2,000万円の控除が受けられます。
▼新築住宅の控除率:各年末の住宅ローン残高の0.7%(2025年度・令和7年 入居)
対象の住宅 |
借入限度額 | 控除期間 | |
子育て世帯・若者夫婦世帯 | 左記以外 | ||
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
5,000万円 | 4,500万円 | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 |
4,500万円 | 3,500万円 | |
省エネ基準適合住宅 |
4,000万円 | 3,000万円 | |
その他の住宅 (省エネ基準を満たさない) |
0円 ※2023年末までに建築確認を受けているものは借入限度額2,000万円
|
10年 |
参照:国土交通省HP「https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001854843.pdf」
具体的には、子育て世帯が省エネ基準適合住宅などを購入する場合、住宅ローンの残高上限が4,000万円まで認められ、入居から13年間で最大364万円が所得税などから控除される仕組みとなっています。
下の早見表にまとめましたので、見ていきましょう。
〈住宅ローン減税 控除額の具体例〉
2025年版 住宅ローン減税シミュレーションの具体例をまとめました。
【早見表】控除率:各年末の住宅ローン残高の0.7%(控除期間:最大13年間)
対象の住宅 | 借入限度額 | 控除額 | 各年の控除額(上限) | 控除額の合計(上限) | |
子育て世帯・若者夫婦世帯 |
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
5,000万円 | 0.7% | 35万円 | 35万円×13年 =455万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 31.5万円 |
31.5万円×13年 =409.5万円 |
||
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 28万円 | 28万円×13年 =364万円 |
||
上記以外 |
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
4,500万円 | 0.7% | 31.5万円 |
31.5万円×13年 =409.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 24.5万円 | 24.5万円×13年 =318.5万円 |
||
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 21万円 | 21万円×13年 =273万円 |
住宅取得に伴う経済的な負担が軽減され、子育て世帯がより安心してマイホームを取得できる環境が整えられます。なお、住宅ローン控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。適用を受けるための手続きを忘れずに行い、控除制度を有効に活用しましょう。
住宅ローン減税シミュレーション
【参考】借入額/4,500万円、月々返済/約114,639円、変動金利/0.39%、返済期間/35年、金融機関/りそな銀行京都支店 |
同じ住宅を購入しても、「子育て世帯・若者夫婦」であるか、「省エネ基準」であるかによって、控除額に差が出ることが確認できます。ただし、全ての人が上限額まで受け取れるわけではありません。
【例①子育て世帯・省エネ基準の場合】
2025年4月に19歳未満の子どもがいる世帯が、4,500万円の住宅ローンを借り入れて、新築住宅(省エネ基準適合住宅)を購入した場合。
各年の控除額は上限28万円です。
2025年~2028年度まで限度額28万円が所得税から還元されます。
返済が進んだ2029年以降からは、借入限度額が減少することで、上限額の控除を受けられなくなります。徐々に控除額は下がっていき、13年間で住宅ローン控除の合計金額は約328万円です。
【例②子育て世帯・ZEH水準の場合】
2025年4月に19歳未満の子どもがいる世帯が、4,500万円の住宅ローンを借り入れて、新築住宅(ZEH水準省エネ住宅)を購入した場合。
各年の控除額は上限31.5万円です。
「ZEH水準省エネ住宅」は、借入限度額が高めに設定されています。2025年年末時点の借入残高が4,409.8万円だとすると、借入残高の0.7%=約30.8万円が所得税から還元されます。
13年間で住宅ローン控除の合計金額は約334.4万円です。
【例③その他の世帯・省エネの場合】
2025年4月に一般世帯の場合が、4,500万円の住宅ローンを借り入れて、新築住宅(省エネ基準適合住宅)を購入した場合。
各年の控除額は上限21万円です。
2025年~2036年まで上限21万円が控除されます。13年間で住宅ローン控除の合計金額は約272.5万円です。
〈省エネ基準を満たさない新築住宅の住宅ローン減税〉
2025年度に省エネ基準に適合しない住宅「その他の住宅」に入居する場合は、要件を満たしていれば、借入限度額2,000万円・控除期間10年として、住宅ローン減税の適用を受けることが可能です。
2023年12月31日までに新築の建築確認を受けている50㎡以上の新築住宅に入居する場合、
【早見表】控除率:各年末の住宅ローン残高の0.7%(控除期間:最大10年間)
借入限度額 | 控除額 | 各年の控除額(上限) | 控除額の合計(上限) | |
2025に入居 | 2,000万円 | 0.7% | 14万円 | 14万円×10年 =140万円 |
【住宅ローン減税シミュレーション】
2025年に省エネ性能を満たさない新築住宅(2023年建築確認取得)を購入した場合。各年の控除額は上限14万円です。
10年間で住宅ローン控除の合計金額は140万円です。その他新築住宅の場合、住宅ローン借入額が2,800万円以上が、各年の控除額の最大14万円を10年間受け取ることが可能な目安です。
※住宅ローン減税シミュレーションはあくまで目安です。控除やその金額を保証するものではありません。
上限額が還付されるとは限らない
法律の規定に基づいて建築された「省エネ基準適合住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「認定住宅」は、借入限度額が高めに設定されています。ただし、全ての人が上限額まで受け取れるわけではありません。
住宅ローン減税では、年末時点での借入残高に基づき控除額が決まります。もし借入残高が借入限度額を超えている場合、各年の上限額まで還付されますが、返済が進んだり繰上げ返済を行った場合、借入限度額が減少することで、上限額の控除を受けられなくなります。
例えば、省エネ基準適合住宅を購入した場合、住宅ローンの年末残高が4,000万円以上であれば、子育て世帯・若者夫婦世帯で最大28万円の還付を受けることができます。しかし、返済が進み、2036年残高が3,000万円にまで減少した場合、還付額は以下のように計算されます:
- 3,000万円 × 0.7% = 21万円
このように、返済が進むと還付額が減少し、最大28万円の還付額よりも少ない金額になります。
仮に、最大28万円の還付が受けられる場合、納めている所得税が25万円であれば、25万円全額が還付されます。しかし、控除額の28万円には3万円の差額があります。この差額(28万円 – 25万円)の3万円は、住民税から還付されます(上限があります)。住民税から控除できるのは、課税所得金額の5%まで、年間で最大9.75万円までです。確定申告や年末調整などで、所得税に関する住宅ローン控除の申告を行なっていれば、住民税の控除を受けるための特別な手続きは必要ありません。
返済が進んだ2036年は、仮に還付額が21万円に減少した場合、所得税から21万円が控除されます。このように、返済進捗によって還付額が変動する点にご留意ください。
住宅ローン減税の申請には、省エネ基準以上適合の「証明書」が必要になります。
●省エネ基準に適合していることを証する証明書として、以下のいずれかの提出が必要です。
1)建設住宅性能評価書(登録住宅性能評価機関のみが発行できます。)
2)住宅省エネルギー性能証明書(登録住宅性能評価機関等のほか建築士も発行可能です。)
まとめ
●住宅ローン減税は、控除率0.7%、控除期間は原則として13年間です。
●住宅ローン減税の控除額は、各年末の借入残高に控除率を乗じて計算します。
●省エネ性能に応じて住宅ローン減税の借入限度額が異なります。
●子育て世帯・若者夫婦世帯が2025年度(令和7年)に入居する場合には、借入限度額について、2022年~2024年(令和4年~6年)入居の場合の水準を維持します。
●「省エネ基準適合住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「認定住宅」は、借入限度額が高めに設定されていますが、全ての人が上限額まで控除が受けられるわけではありません。
住宅ローン減税シミュレーションをご覧いただきながら、ご自身が購入する新築住宅の場合の控除額がいくらになるか参考にしてみてください。
注意点
エルハウジングでは「省エネ基準適合住宅」に加え、より高い省エネ性能を持つ「ZEH水準」に適合する住宅を建築しています。 なお、上記でご紹介した補助金や減税制度が、エルハウジングの物件に適用されることを確約するものではありません。 (2025年1月現在) |
初年度は確定申告が必要
購入予定の物件が補助金・助成金制度の条件を満たしたとしても、漫然と減税が受けられるわけではなく、確定申告が必要です。2年目以降は勤務先の源泉徴収で減税が受けられますが、初年度はご自身で確定申告を行ってください。
≫関連記事「【2025年版】新築住宅を購入するなら知っておくべき補助金やお得になる制度」
≫関連記事「住宅ローンを無理なく返せる【返済負担率】の目安とは」
[備考]
■ローン概要●金融機関/りそな銀行京都支店●金利/変動金利年0.39%「通常変動金利から、お借り入れ当初からご返済まで最大-2.235%%後の融資金利」●返済期間/35年※金利見直しにより返済金額は変動いたします。融資金利についてはりそな銀行において審査がございます。※融資手数料型の場合です。
■記載の住宅ローン減税シミュレーションは、特定条件に基づいて計算された参考数値であり、控除やその金額を保証するものではありません。
▼所得税と住民税の計算における各控除については、以下に従って計算しています。
・所得控除は、基礎控除・扶養控除(配偶者控除含む)・社会保険料控除を考慮しており、その他の控除(生命保険料控除等)は考慮していません。
・基礎控除は、所得税は48万円、住民税は43万円としています。
・扶養控除は、所得税は一律38万円、住民税は一律33万円としています。
・社会保険料控除は、会社員の方を想定しており、一定の試算式に基づいて計算しています。
※こちらの記事は2025年1 月現在の情報をもとにしてます。
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